飼い主の終活,ペットの終活

飼い主が病気になったり,亡くなったりしたら・・・

ペットは私たちにたくさんの喜びを与えてくれます。
でも,ペットは飼い主さんと一蓮托生。飼い主さんにもしものことがあれば,たちまちペットの生活は立ち行かなくなってしまいます。

もし,飼い主さんが病気になったり,亡くなったりしたとき,ペットはどうなってしまうのでしょう。このような時,私たちが取りうる選択肢としては,次の3つのいずれかではないかと思います。

1 親族や知り合いに引き取ってもらう。
2 支援団体などの支援を受けて里親に引き取ってもらう。
3 保健所に引き取ってもらう。

この中で,飼い主さんにとっては①が望ましいですが,世の中,ペットを飼えない事情がある人も少なくありません。
次の②については,子犬や子猫のうちならともかく,高齢となったペットはなかなか引き取り手が見つからないという問題があります。また,里子に出すことで,元の飼い主さんとペットの関係は切れてしまう(つまり飼い主さんは我が子に二度と会えない)ことがほとんどであるようです。
③は…そんなことは考えたくないですよね。

老犬老猫ホームという選択

このような問題を解決する手段として,老犬老猫ホームで終生預かりをしてもらうという選択肢があります。先日,その1つである東京ペットホームさんの施設を見学させていただくことができました。

東京ペットホームさんの施設は,羽田空港からほど近い,京浜急行空港線大鳥居駅徒歩15分くらいの場所にあります。別々の建物に,犬専用のドッグホームと,猫専用のキャットホームが設けられています。

広々としたケージ

ドッグホームの中に入ると,ワンちゃんたちがわらわらとうやって来てお出迎えしてくれました。みんな高齢のためおむつをしていますが,のんびりと寝そべったり,スタッフさんに甘えたりして,のびのびと過ごしています。昼間はフリースペースで過ごし,お散歩にも連れて行ってもらえるそうです。夜はケージに入りますが,元々同じ家から来た子たち以外は,1つのケージに1匹しか入らないことになっているとのことでした。

このホームでは,飼い主さんが面会に来たり,場合によってはスタッフが飼い主さんのところにペットを連れて行ったりして,会うこともできます。

東京ペットホーム代表の渡部帝さん(左)。

現在,このドッグホームには6匹,キャットホームには20匹の猫が生活しています。ここに来る経緯は,飼い主さんの入院や老人ホームへの入居がきっかけとなることが多いのだそうです。多くが終生預かりで,飼い主さんがすでにお亡くなりになった子も少なくありません。

キャットホーム

利用者は,1年ごと更新で毎年飼育費用を支払います。終生預かりの場合も同じですが,飼い主さんがお亡くなりになったなどの理由でそれができない場合,平均余命や個別の健康状態をもとに,一生分の費用を決めて飼い主さんの財産から一括で支払ってもらうこともあるそうです。安くはない飼育費用ですが,老犬老猫の介護の苦労を考えると,決して高い金額とは思えませんでした。

ペットの終活も考えて

ペットの寿命は,フードの改良などで,犬の平均寿命は14.29才、猫の平均寿命は15.32才と昔に比べて伸びてきています(一般社団法人ペットフード協会「平成30年全国犬猫飼育実態調査」)。中には20才以上というご長寿の犬猫もいます。そのため,自分より先にペットが逝くだろうと思っていたのに,その前に飼い主さんのほうに飼えない事情が生じてしまった,という問題が起きるようになってきました。しかし,ペットの終活について準備しているという人は少なく,東京ペットホームにいる子たちも,飼い主さんがいなくなって困ってしまったご家族や,見かねた近所の人や介護ヘルパーさんを通じて預けられることになった子ばかりだとのことでした。

終活のテーマは様々ありますが,その中で生き物であるペットは最も重いテーマのひとつであるかもしれません。元気なうちに,自分に万が一のことがあったときのペットの行く末について,しっかり考えておかなければならないと感じました。

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