孤独死現場のミニチュア―2019エンディング産業展にて

日本最大の葬祭事業者が集まる専門展

今年もやってきました。東京ビッグサイトで開催される「エンディング産業展」。
昨年よりエントランスに近い会場になり,規模も年々大きくなっているような気がします。

全国最大規模のこの展覧会は,葬祭業界の最新トレンドが分かる興味深いものなのですが,中でも私が必ずチェックしているのが,遺品整理クリーンサービスさんのブースです。
この会社は,遺品整理や特殊清掃業の会社なのですが,毎年,孤独死現場やゴミ屋敷のリアルなミニチュアを作って展示しています。

 

孤独死現場をミニチュアで再現する理由

ここから先,リアルなミニチュアの写真を掲載します。血液や体液の再現がありますので,苦手な方は御覧にならないようにしてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

これらのミニチュアは,22歳で遺品整理・特殊清掃の世界に入り,現在5年目となる小島美羽さんほか,この会社のスタッフの手によるもの。

これまで私がブースを訪れたときはいつも記者に囲まれていた小島さんですが,この日は夕方遅く人が少なかったせいか,小島さんの方から話しかけてきてくださいました。このようなハードな仕事をしているとは思えないくらい小柄で可愛い方です。今では,会社の他のスタッフもミニチュアを作るそうですが,「孤独死現場の現実を知ってもらいたい。誰にでも起こり得ることとして考えてもらいたい」という思いで一人でミニチュア製作を始めたのだそうです。


遺品はその人の人生を雄弁に語る

これらのミニチュアを見ると,人生について大いに考えさせられます。このような凄惨な現場ではありませんが,私も故人の部屋で遺品を探す仕事をすることがあります。遺品は,その人の生き様,人柄,思いを雄弁に語ります。私も,主のいなくなった遺品に向かい,まったく面識のない故人に話しかけていることがよくあります。

たった一人で家で亡くなることは決して自分とは無関係の世界のことではありません。私も,自分自身の問題としてこの問題をとても身近に感じます。しかしその後,何か月も発見されないでいる状況に,社会に横たわる深い断絶を感じます。どうすれば救えたのだろう。そんな自問自答をこれからも繰り返していくことになりそうです。