エンディングノートいろいろ

エンディングノートの主要な項目

最近,書店で販売されていたり,行政機関が無料で配布していたりするエンディングノート。
気軽に手に取ることができる機会が増えてきました。
大抵のエンディングノートには,次のような項目が用意されていいます。

・これまでの自分を振り返る。
・介護・医療の希望
・葬儀・お墓の希望
・財産のリスト
・住所録,知らせてほしい親戚,知人,友人
・家族など大切な人へのメッセージ

しかし,これらの項目の中でどれを重点項目としているかは様々です。装丁やボリュームも様々なものがありますので,自分がエンディングノートを書くことで叶えたい目的に沿うものや,手に取ってみて「好き」と思えるデザインのものを選ぶと良いと思います。

さて,今回は私が持っているエンディングノートを開いて比較してみました。

1 オーソドックスなエンディングノート

マイウェイ(一般社団法人終活カウンセラー協会)定価1000円
私が終活セミナーを主催するときに使用・販売しているのがこのエンディングノートです。私が自分用のエンディングノートとして初めて記入したのもこのノート。
一般的なエンディングノートとしての項目がバランスよく取り入れられていて,どなたにも受け入れられやすいのではないかと思います。

2 記載内容が具体的でイメージが湧きやすい

その日のために―旅立ちノートー(NPO法人人生まるごと支援)定価300円
マイウェイと基本的には同じ内容ですが,こちらの方が記載内容が細かいです。その分,自分の希望するエンディングのイメージが具体的に湧きやすいです。しかし,これを書いたからといって希望がすべて叶うわけではないことは注意が必要かも…。

大切なものがどこにしまわれているかをリストアップするページがあり,遺族は助かりそう。カラフルではないけれどもコスパがよいです。

3 自分史を残したい方におススメ

My Lifeこれまでとこれから 自分史年表+エンディングノート(K&Bパブリッシャーズ)定価1200円
分厚い。ノートというよりは本です。このエンディングノートの特徴は,自分史の作成にかなりの分量が割かれていること。1年ごとに人生を振り返って出来事を記入することになっていますが,ふつうは毎年毎年記録に残すような出来事はないかもしれません。

自慢の料理のレシピを記入するページのアイデアは面白いですね。私も「亡くなった〇〇さんのあの料理のレシピ,教えてもらえばよかったな・・・」と後悔したことがありますので。

 

4 シンプルで書きやすい

もしもに備える安心ノート(永岡書店)定価780円
本のような立派な装丁ですが,親しみやすいデザインで内容もシンプルで書きやすそう。これまでの自分の振り返りや家族へのメッセージに割かれるページは少なく,もしものときに役立つ情報を整然と書き込むようになっています。ファイナンシャルプランナーによるコラムもたくさんあり,読みやすいです。

 

5 3部構成で工夫されたエンディングノート

アクティブノートー賢い老い支度―(オフィス・シバタ)定価1500円
このエンディングノートの特徴は3部に分かれていること。通常のエンディングノートは,生きているうちに見てほしい項目と死後に見てほしい項目が1冊にまとめられており,見てほしいタイミングで必要な人に見てもらえないといった課題があります。しかし必要な項目が時系列で分冊されていれば,そのような心配を解消できるかもしれません。

緊急事態に救急隊員に見てもらうためのノート(玄関の戸などに貼ることが推奨されています)があるのも特徴的です。


6 遺族が行う手続きにフォーカス

私の大切な覚書き(ジブラルタ生命)無償配布
これまでの振り返りや家族へのメッセージは極力排して,遺族が行わなければならない手続きがスムーズにできるようにすることを主眼として作られたエンディングノート。実務的な項目を淡々と記入することができるので,書こうとしてもなかなか書けなかった人にもおすすめです。

エンディングノートは書くだけではダメ?

いろいろな種類があるエンディングノートですが,注意していただきたいことがあります。それは,エンディングノートには法的効力はないということです。たとえば,エンディングノートに相続の希望を書いたとしても,それを法的に実現するには遺言が必要で,エンディングノートを書いただけでは実現できません。
また,せっかくエンディングノートを書いても,書いただけでは見つけてもらうことができず,無駄になってしまうこともあります。エンディングノートを書くだけでなく,家族などの大切な人と話すことが大事ですので,それを忘れないでくださいね。